この広い世界で、2度目の初恋を


すると、机の上にコトンッと、消しゴムが置かれた。

隣を見ると、宇佐見くんが消しゴムを指差した。


「っ!?」


驚く私に、口パクで"見て"と声をかけてくる。

私は、困惑しながら消しゴムに視線を落とす。

すると、シャーペンで『笑ってくんない?』と無茶苦茶なお願いが書かれていた。

は……?

意味不明だし、何を突然言い出すの。

私はまたイライラして、シャーペンで『私に関わらないで』と書いた。

私の事からかって遊んでるんだ。

まさか、あの宇佐見くんまでそんな人だったなんて…。

新学期早々、席にも恵まれないなんて…。

もともと真っ暗だった先が、さらな真っ暗になった。

無言で宇佐見くんの机にゴンッとわざと音を立てて消しゴムを置いた。

そして、宇佐見くんの様子を確認する事も無く、授業に集中しようと黒板を見つめる。

すると、またコトンッと机に消しゴムが置かれた。

プチッと血管が切れる音がした。



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