この広い世界で、2度目の初恋を



「うす、添田、七星」
 
片手を上げる宇佐美くんは、ステンカラーコートにVネックの白いニットに黒いスキニーパンツを履いている。

モノトーンで揃えられた服装に、どこか大人っぽい色気を感じさせた。


カッコイイ……。

人気者なだけあるよ、宇佐美くん。

私、今思えば、人気者の宇佐美くんと遊びに行こうとしてるんだ。

お、恐れ多い……。

「添田は、なんかいつもと雰囲気違うな…」

「えっ……」


マジマジと見つめられて、私は顔が熱くなる。

やめてほしい、そんなに見つめるの。

そんなに見るほど綺麗な顔立ちでもないし、かと言って可愛いわけでもない。

噂とか、違う意味で視線を集めることはあるけど、こんな風に純粋に見つめられるのは……慣れてない。


「やべ、可愛い……」

「えっ??」


ボソッと言った宇佐美くんの声は小さくて、聞き取りにくかったけど…。

……確かに届いた。

可愛いって……宇佐美くんが言ってくれた。

やだ、恥ずかしさと嬉しさで、今すぐ発狂しそう。



< 90 / 300 >

この作品をシェア

pagetop