この広い世界で、2度目の初恋を


口元を手の甲で覆っている宇佐美くんをつい見上げると、パチッと目が合ってしまう。

「「っ!!」」

声にならない声を上げて、同時に視線を反らす。

付き合いたてのカップルみたいな空気に、どうしていいのか分からなくなる。

「樹お兄ちゃん、七海お姉ちゃん、早くいこーよ!!」

そんな空気を変えてくれたのは、七星だった。

「あ、あぁ…そうだな、行くか!」

「そ、そうだね……」


ぎこちなく私たちはここぞとばかりに話題を変えた。

ありがとう、恥ずかしくて死んじゃうところだったよ…。

ホッとして、私は七星に感謝する。

そしてゆっくりと、駅へと歩きだした。

水族館は最寄り駅から3駅目にあって、そこからまた水族館までいく専用のバスが出てるから、それに乗る。

だいたい45分くらいかけて、あたしたちは水族館へとたどり着いた。





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