この広い世界で、2度目の初恋を
もう駄目だって、そう思った時……。
バジャンッと大きな水の音が聞こえた。
たくさんの水泡が視界いっぱいに広がる。
そして、水泡が消えると、太陽を背にこちらへ手を伸ばす誰か。
ほとんど無意識に手を伸ばすと、その手を力強く引っ張られて…。
「それで……王子様に出会った…」
水槽に片手をついて、ボーッと自由に泳ぐ魚を見つめた。
どうしてだろう…。
最近、あの王子様の事ばっかり思い出す。
その度に、胸が切なく締め付けられるような感じがする。
「また…会いたいなぁ……」
「添田!!」
ポツリ呟くと、名前を呼ばれてハッと顔をそちらへ向ける。
すると、宇佐美くんと七星が駆け寄ってきた。