この広い世界で、2度目の初恋を



もう駄目だって、そう思った時……。
バジャンッと大きな水の音が聞こえた。


たくさんの水泡が視界いっぱいに広がる。

そして、水泡が消えると、太陽を背にこちらへ手を伸ばす誰か。

ほとんど無意識に手を伸ばすと、その手を力強く引っ張られて…。

「それで……王子様に出会った…」


水槽に片手をついて、ボーッと自由に泳ぐ魚を見つめた。

どうしてだろう…。

最近、あの王子様の事ばっかり思い出す。
 
その度に、胸が切なく締め付けられるような感じがする。


「また…会いたいなぁ……」
 
「添田!!」

ポツリ呟くと、名前を呼ばれてハッと顔をそちらへ向ける。

すると、宇佐美くんと七星が駆け寄ってきた。






< 93 / 300 >

この作品をシェア

pagetop