この広い世界で、2度目の初恋を


「て、手っ!!」


宇佐美くんの手って、大きくて少し硬い…。

男の子の手って、こんなだったっけ…。

先生のことがあってからは、恋愛なんてする気にもならなかったから、なんだか不思議な感じ。


「ま、迷子防止策だ」

「は、はぁ……」


そんだ、当たり前だろ…みたいな言い方…。

私はこんなにドキドキしてるのに、宇佐美くんはなんとも思ってないの?

そう思って宇佐美くんの横顔を見上げると…。

あれ、ほんのり赤い……?

いやいや、そんなのありえないよ…。

だって、宇佐美くんは学校でも人気者で、イケメンなんだよ?

私みたいな普通の女の子に、心動いたりしない。


「カクレクマノミいたよ、七海お姉ちゃん!!」

七星がグイッと私と宇佐美くんの手を掴んでいきなり走り出す。

「わっ!!」

「お!?」

私たちは引きずられるように海水魚コーナーへとやってきた。

「あっ!!カクレクマノミ!!」

「あぁ、あの映画に出てきた魚か」

七星を真ん中にして、宇佐美くんと私はカクレクマノミを見つめる。


鮮やかなオレンジに白色のクックリとした縞模様、愛嬌のある丸々とした体が目を引いた。


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