この広い世界で、2度目の初恋を
「体長は10センチ…らしいぞ。小せぇーのな」
「ね、ふふっ、小さくて可愛い…」
親子なのか、2匹のカクレクマノミが連なって泳いでる。
それにほっこりとしながら、見つめている。
「あぁ、マジだ……ほら見ろよあれ、親子じゃね…って、うお!?」
「えっ?」
すごく近くで、宇佐美くんの声が聞こえた。
それに驚いて顔を上げると、予想外に近い距離で目が合う。
わわっ……宇佐美くんの顔が近い…っ。
「あ……っ」
綺麗な目……。
やっぱり、あの王子様を思い出す…。
吸い込まれるような、深海の黒い瞳。
「お、オイ……そんなに見んなよなっ」
「はわっ、ご、ごめんね!!」
今度は確実に勘違いじゃない宇佐美くんの赤い顔。
あたしもきっと、同じように赤くなってる。
「ねーね!!サメ見に行こうよ〜!!」
そんな私達の空気を、またもや七星が救ってくれた。
なんなんだろう、このドキドキ……。
「あ、あぁ!!行くぞ七星…と、添田」
そう言って、振り返りながら差し出される宇佐美くんの手。
「あ……はい!」
それを、戸惑いながら握る。
この胸の変化に、戸惑ってばかり…。
あたしの心は、いつからこんなに騒がしくなったんだろう。
自分のことなのに、わからない事ばかりだった。