この広い世界で、2度目の初恋を
午後12時を回った頃、私たちは、水族館の中にある公園の 芝生で昼食をとることにした。
露店で買ってきたホットドックを頬張りながら、話は七星の、サメの話で盛り上がっていた。
「大きなサメだったね!!七海お姉ちゃんも見た??」
興奮する七星に私は小さく笑って頷く。
「ちゃんと見てたよ、本当に大きかったね」
私はそう言いながら、七星の口についたケチャップを、ティッシュで拭ってあげる。
「七星お姉ちゃんはカクレクマノミが見れてよかったね!」
「あぁ、七海さ、カクレクマノミ見てるときが一番楽しそうだった……って、あ……」
宇佐美くんは、 そこまで言ってはっとしたように言葉を止める。
私は、聞き間違いかと思って耳を疑った。
宇佐美くん、今私の名前を呼んだ?
あまりにも自然だから聞き流しそうになったよ…。
「わ、わり…七星につられた」
「う、ううん……」
「……つーかさ」
そう言って宇佐美くんは、何かを決心したように 私をまっすぐに見つめる。
え、なに……??
私も戸惑って宇佐美くんを見つめ返す。
まるで時が止まったかのような感覚に襲われた。