この広い世界で、2度目の初恋を


「俺も……七海って呼びてーんだけど、ダメか?」

「へっ??」

予想外のお願いに、思考が働かない。

まるで外人にでもなって、言葉を忘れてしまったかのように、宇佐美くんの言っている意味がわからない。


「だから、七海って読んでいいかって聞いてんだけど」

「あ……」

今度ははっきり聞こえた。

どうして私の名前を……??

宇佐美くんに名前を呼ばれるなんて……ドキドキして今にも心臓が口から飛び出しそう。


「う、うん…もちろんどうぞ…」


断る理由もないし、私は頷いた。

不思議だけど……宇佐美君にそう呼んでもらいたいと思う自分もいる。

どうしてだろうらずっと胸でくすぶってる不思議な気持ち。


「うし、じゃあ今日から七海な。俺のことと、樹って呼べよ?」

「え、えぇ??いきなり呼び捨ては…ハードルが高いと言いますか…」

「乗り越えろ」

「うぅ……せめて、樹くん…でお願いします」


呼び捨てなんて、私にはエベレストを登るよりきっと辛い。

くんをつけてても、名前を呼ぶときに声が震えたもん。



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