ひとナツの恋




「買い占めるか」

「よし、じゃあ全部かごに入れろ」


決意してレジに持っていったのはいいんだけど…



「ごめんねぇ、買ってくれるのはありがたいんだけど他のお客さんも買うかもしれないから全部ってのはねぇ…」


心優しそうな、しわしわのおばあちゃんに言われちゃったらね、見た目ヤンキーの海渡たちも言い返せないようで。


「じゃ…ちょっと返す…」


「ごめんねぇ、ありがとうよお。
………14452円です」

「はーい」


海渡以外の一人ずつが5000円札を出してお釣りを貰って出た。



「じゃああとは海渡だけだな。
他の店行こうぜ」


3人が袋いっぱいの花火を手に持って次の店に向かう。



「スゴいね、花火いっぱい。花火とかすごい久しぶり」

「「「………………」」」

「え…なに?変なこと言った?」


4人とも私の方を見て黙り込んだ。



「いや…なっちゃんから話しかけるのが珍しくて…」


「そ、そうかな…?」


そんな自覚なかったんだけど。




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