ひとナツの恋
彼氏…
彼氏どころか友達すらいないよ…
そんなことが頭をよぎってちょっと気持ちが沈んだけど、4人がいるからスッと切り替える。
「彼氏はいたことないよ」
「そっ…か…」
笑って答えた私とは裏腹に沈む海渡の表情。
「良かったなぁ海渡ぉ」
「ごめん、止めようこの話」
そう言って海渡は私の頭に手を乗せた。
「花火、どこで買おうか?海の近くに別のスーパーあったっけ?」
「ああ…あったような気がする。
そこ行こうぜ」
「オッケ」
「夏、行こう」
ぎゅっと握られる手。
そこから熱が体をめぐる。
斜め前を歩く海渡の後ろ姿と空が、私の視界を占める。
「夏、花火、楽しみだな?」
振り返る海渡、ニッて笑ってつられて私も笑える。
「うん、すっごい楽しみ」
そしたら何故か他の3人も共感した。
「俺も楽しみだー!!」
「花火やりてぇー!!」
「なっちゃーん!!」
「いや、意味分かんないし」
うん。最後の私の名前は意味分かんないよ。