ひとナツの恋





「んー冷たくてうめえ!!
おい海渡、野菜食わねぇのかよ?」

「うっせぇよ…」


俺が野菜苦手なの、知ってるくせに。


俺の左隣でそうめんをすすりながらこっちを見る夏。

う、上目使いとか、反則だろ…



「もしかして、海渡って野菜嫌いなの?」


うわ。夏も畳み掛けんなし。きっついわ。


「ん?嫌い…てか苦手…?
いやでもミヨさんが作ったのなら食べ…るけど」


口の中にまだ入っていたそうめんを飲み込み、一番食べやすそうなトマトを皮ごとかじった。



「……ど?」

「………う…旨い…?」



あれ?美味しい?マジで?


「ホント?良かった。
おばあちゃん、甘味を増すために水をあんまり与えないで育ててるって昨日言ってたんだ」



…ああ、分かった。


トマトが甘いのもあるんだけど、隣に夏がいるからだな。


やっぱり一緒に食べる人って大事なんだ。




「ちょーうめぇ!!」
「ホントな。野菜ってこんな旨いんだな」
「なっちゃんのそうめんもいい茹で加減だぜ」





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