ひとナツの恋
「うおい!!急に撮るなよ、絶対変な顔したわ」
「そんなことない、相変わらずイケメンですよ?へへ」
そう笑ってケータイの角を顎につけての上目使い。
うわ、くっそ可愛い。
「意味わかんねぇし。消せよ?」
「ふふ、消さないよ。見る?」
「…いやいや、別に……」
顔を背けるけど気にしないようにケータイの画面をこっちに向ける。
…やっぱ、気になるし。
夏から見た俺ってどう写ってるのか。
「はい」
「…………」
画面いっぱいの俺の顔。
カメラのちょっと上を見ていて、首元と顎を中心として花火の明かりで赤く、というかオレンジっぽく変色してる。
「アホ面じゃねぇか」
「そんなことないってば」
「消せ」
「消さない。想い出」
「…勝手にしろ」
恥ずかしいけど、夏のケータイの中にいつでも居れるのなら我慢しよう。
「花火、次のしよう?結構前に終わってるし」
「おぅ。何する?」
「じゃあこの長いやつにしよう!!60秒だって」