ひとナツの恋
夏side
「俺らジュース買ってくるゎ。何がいい?」
「俺コーラな」
海渡は私の手を握り三人の要望を聞く。
そして私を砂浜から連れ出した。
ぐんぐんと海渡の歩くスピードが早くなっていき私はもう、小走り状態。
ちょっと待ってって言いたくても気まずくて口を開けなかった。
やっと止まったのは自販機の前。
でもやっぱり海渡の顔は見れなくて下を向く。
「なあ夏…俺さ…夏のこと好きだよ」
「っ!?」
突拍子もない言葉に思わず顔を上げてしまった。
「ははっやっとこっち向いた」
「〜…っ!!
ひ…ひどい、変なこと言ってからかってるんだ」
「別に、こっち向かせたかったのは本当だけど、夏が好きなのも本当」
いやいや、あり得ないでしょ。
「からかったつもりは全く無いよ」
…そんな、真顔でこっち見ないでよ…
本気にしちゃうじゃん。
「…ばかいと」
「いや、意味分かんないって」
そう不満を言いながらも笑ってくれた。
「…あのね、私、中学のときに友達怪我させちゃったんだ…」
「……うん」