ひとナツの恋
春菜は窓の外を向いていて表情は分からなかったけど。
それでも看護師さんは包帯を換えながら話を続ける。
「なっちゃんがいつも来てくれて嬉しいって」
「変なこと言わなくていいよ梨香さん」
「あらあら、余計なこと言っちゃった?
…よし、交換終わったし戻るね」
「うん、ありがとう」
「じゃーねん」
バタンとドアが閉まって梨香さんは出ていった。
「……春菜…?」
「…あはは…変なこと知られちゃったねー」
やっとこっちを向いた春菜はちょっと困った顔だった。
「いやーね、確かに足痛かったし、傷も残るって言われたときはすっごいショックで、代わりなんかしなきゃ良かったって思ったんだ」
「…ごめっ…」
「でもさ、なっちゃんが手当てしてくれなかったらもっと重症だとも言われた。
もし、なっちゃんが居なくて4人だけだったら何も出来なかった…
だから、ありがとう。
なっちゃんが居てくれて良かった」
にこって。
天使みたいに見えた、私の重い心を少しだけ軽くしてくれた。