透明な子供たち




戸棚を開ける。またお菓子が無かった



華「…お母さん、お腹すいた」


母「ごめんごめん…
買うの忘れちゃった…」




力無い母の言葉を受け取る前に、華那子の手を引き秋良は自分の部屋に華那子を連れていった。

華那子の腹の気を逸らわすように、秋良はお人形遊びやおままごとをして一緒に遊んでくれた




この時、何も知らなかったのは、きっと私一人だけだった。


お父さんは会社の社長、お母さんはとっても美人。自慢のお母さん。
大きな家に高級車、グランドピアノ…夏休みは家族で海外旅行、生まれた時からそれが当たり前だった。

それが壊れるだなんて、想像する事すら出来ない。した事だってない。

それが産まれた時から、そう育てられた華那子の家族の"当たり前"だったから。



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