透明な子供たち




秋良は苛めっ子達にランドセルで袋叩きに殴られていた。百円をいれたら動くゲームを楽しむみたいに、ボフン、ボフンと鈍い音が繰り返される
楽しそうにランドセルを振りかぶる男の子、ゲラゲラと笑う男の子、そうだ、もっとやれもっとやれ!

ランドセルが、不気味に黒光りする



助けなきゃ…お兄ちゃんが殺される
気付けば泣きながら走っていた。走って…ランドセルを振りかぶる男の子に体当たりをした

そんな華那子を見て、秋良は目を丸くする
無我夢中で泣きながらポコポコと上級生を叩いた



華「やめて!もう叩かないで!」



泣きながら喚きながら。やめて、やめて、お願いやめて

通行人の大人達が、足を止め何事かと気にし出すと、いじめっ子達は逃げるように帰っていった

泣き続ける華那子の頭を撫でた秋良の手は、とても暖かい。罪で汚したその右手は、とても、とても暖かくて華那子の目はジワジワと熱くなる




ア「ありがとう、ごめんな。」




力なくそう言った

胸に刺さった。グサッと。一瞬で心臓を貫通してその言葉は刺さったままだ

なんでだろう、凄く悲しい気持ちになったの。凄く、凄くね。胸じゃない、肺かな?
肺が、キュウッと萎んだ様な。ただただ息苦しさを感じた



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