久遠の愛と約束を

逃げた足でそのまま女子更衣室に来た。


制服の上を脱ぐと肩には爪の跡がくっきり残っていて赤く腫れていた。


着ていたベストも強く掴まれて伸びてしまい、ワイシャツは案の定縫い目の部分が破れていた。





「まさか…あゆみんがあんな人なんて…
後輩から聞く限りいい先生だって……」


うっすらと目元に涙を浮かべた葵に、私は背伸びをして頭に手をかけた。


「ごめん……ごめん……っ…」




堪えきれなくなった葵は涙を流して静かに泣き始めた。


「葵、私は葵の気持ちが嬉しかったよ?
だから悪くない…よ。
お互い、園田先生に気をつけよう、ね?」



私だって正直泣きたかった、でも……どうしてか涙が出てこなかった。


瑞輝の前ではよく泣いてたな……思い出すと胸がぎゅっと苦しくなる。




葵が泣き止むまで待って、私たちはそのまま家路に着いた。
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