久遠の愛と約束を
靴を下駄箱に置きっ放しにして入った校舎。
そのまま向かったのは、私たちの原点だった。
相変わらず暖房器具のない社会科資料室に入ると、ひんやりとした空気を遮るように瑞輝の温もりが身体中を走った。
「瑞輝…」
「ごめん。辛い思い、させたよね」
瑞輝は苦しげな声でポツリと呟いて、私を抱きしめる力を強めた。
私は瑞輝の胸の中で、軽く首を横に振った。
「うんん、大丈…」
「もう、全部、俺が受け止めるから…
覚悟しろよ、紘那」
私を引き離した瑞輝はそのまま顔をゆっくり近づけて、優しく口づけをしてくれた。
その唇の感触が懐かしくて、グッと熱い想いがこみ上げてくる。
「もう…離れないでね」
「あぁ、約束するよ」
どちらからともなく重なった口づけは、どんどん深みを増していく。
息苦しい、と思ったタイミングで瑞輝は数ミリ唇から離れた。
「愛してるよ、紘那」
それだけ言うとまた深く唇を重ね合わせた。
瑞輝、私も、愛してるから約束するよ。
“久遠の愛と約束を”
【完】