another新撰組・1
見ると、足がもたつき、目が虚ろだ。

(・・・脱水起こしてる。)

医療に少なからず携わって来た為に、この程度の事は見て分かる。

ガキは、足がもつれ、そのまま俺の側で、前に倒れ込む。

とっさに手を差し伸べた。

(全く手のかかるガキだ。)

だから、きっと、皆こいつを可愛がるのだろ。

俺も含め、皆、この年頃に子供ではいられなかったから。

大人にしかなれなかった俺達だから、大人になりたいガキを大切にしたくなるのだろう。

なるべく、年齢以上に成長しないように。

あるままの状態で育つ様に。

土方さんは、きっと、機会を見つけて、このガキを血生臭い世界から遠ざけるだろう。

(土方さんのお気に入りだからな、このガキ。)

本人は気付いていないけどな。
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