another新撰組・1
「ごめんやす。」

一軒の店に入った。

「どちら様です?」

少し嫌そうな顔で、主人らしい男が奥から現れる。

「連れが脱水起こして倒れまして。少し休ませて頂きたい。」

すっ、と紙包みを差し出す。

「それは大変でしたな。・・・しかしなぁ。」

紙包みはしっかり受け取って、笑顔でこちらを見る。

見た目通り卑しい性格らしい。

「頼みます。」

「しかし、当店は夜の店で・・・。」

(ダメか。)

「分かりました。すいません。無理を言って。」

引き下がる事も必要だ。

「・・・あら?主人、お客様ですか?」

若い、女の声が、俺の行動を止めた。
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