ユウガオ



「昨日ごめんな、おめでとうって
言えなくて」


車から降りてくるなり
私をぎゅっと強く抱きしめる


「たぁ…みんな見てる…」


「うん…」

彼は私を助手席に乗せ発進する


「覚えてたの?」
へらっとした私の質問に

「当然でしょ」と私の頭を
なでる彼



忘れっぽいくせに…

心の中で悪態をつき、運転して
いない方の彼の手を私から握った



一瞬驚く顔をすると
「やべー、ちょー嬉しんだけど…」

もう関係が始まって
一年半もたつのに彼は
いまだに新鮮



たぶん、そこも好き
当たり前をしないところ


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