ユウガオ



「じゃあそろそろ帰るね」

私の言葉にゆりは笑顔で手を振った



病院を出た時、彼とすれ違った
そう、たくみさん


彼は私を二度見て
「待って!」と手を掴んだ


私は1年以上ぶりに
会った彼に懐かしさと切なさと
愛おしさ、よく分からない
感情が一気に込み上げてきた



「今、時間ある?」

あるけど、今日は月曜日…


「うん」


彼はおそらくゆりに渡すであろう
紙袋をもったまま

私を引っ張って車に乗った


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