「15―イチゴ―」

しばらくして人だかりの中を掻き分けて、誠也が浮かない表情をして戻ってきた。


「壱……」


「え…?」


もしかして… 落ちた?


目の前で親友が暗い表情をしている。

親友の口から、落ちてたって聞くことになんのか……


暗いことしか考えられなくて、そう思った。



「合格してた…」


「え?」


「だから、俺ら受かったんだって!」

思わず聞き返すと
誠也は嬉しそうに答えた。


「紛らわしいことすんじゃねーよ…」


「迫真の演技だったろー?」

いつも通りに笑いながら言う誠也。


…忘れてた。

誠也は、こういうことをするやつだった。


「嬉しさ倍増だろ?
高校でも俺ら一緒だなー」


緊張して合否を待っていた俺は、紛らわしいことをした誠也に少しムッとした。



落ちたと思った俺、バカみたいじゃん……
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