白球に想いを
相談されなかったと言えば嘘になるけれど、これと言ってされた相談と言えば野球続けようかなと言われたくらいだ。
『栃木に行くから花奈と付き合えない』
そう言われた。
わかってはいた。
私は、彼の中で野球というスポーツよりも、上に立つ事はできないと、知ってはいたんだ。
だけど、まさか、それで別れることになるとは思っていなかった。
だから、だから私は、弱小校というレッテルを貼られているこの専門高校で、認めてもらおうと思った。
ここで、頑張って、また、いつかの日を夢見たいのだ。
支えきれなかった彼の代わりではないけれど、彼と同様支えてみせたいのだ。私にでもできるのだと。
一見子供のような理由と覚悟に見えるだろうけれど、私にとってはそんなことはないのだ。人生の分岐点にあたいする。
彼の面影を、追い続けるのも悪くは無いと思うんだけど、私はこのレッテルだらけの彼らと成長したいと思ったんだ。
< 10 / 65 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop