からっぽ。
決心
《歩実》



「はい、その信号を右に曲がって真っ直ぐです」

坂下からの電話を、コンビニの店員に代わって、場所を説明して貰う。


「すみません…」

「もう、近くまで来てるみたいですョ」


二十歳くらい。
学生のアルバイトに見えるその店員は、迎えが来るまで待たせて欲しい事を伝えると、快く承諾してくれた。


「彼氏ですか?」

「…友達ですョ」

「こんな時間に来てくれるなんて、凄いですね」


そんな話をしているウチに、坂下の車がコンビニの駐車場に着いた。


「長い時間、ありがとうございました…」

私は、ガムと缶コーヒーを2本買い、コンビニを出た。


「ごめんね…。こんな遠くまで……」



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