からっぽ。
《歩実》



正行さんは、私が住んでいる町に単身で赴任していて、私が働く“スナック”に、たまに飲みに来るお客さんだった。



その頃の私は、お店のお客さんとプライベートで会う事がイヤで、
『送って行くョ』
と言われても、必ず断わる様にしていた。



でもその日は、中々手に入らないという“幻のお酒”を、常連のお客さんが持って来ていて、


「飲んでみたぁ~い!」

と、調子のイイ事を言ってしまった為に、飲む事になってしまったのである………



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