からっぽ。
リビングというよりは“茶の間”という感じの和室に通された。


「遠い所を、ごめんなさいね……」

裕美の母親は、あえてなのか、優しい口調で話しかけて来た。



茶の間には、家族が勢揃いしている。

もちろん、彩葉も。


「これからの事を、話そうと思う」


何度か会話をしている裕美の父親は、二人の時とは違い、威厳を保つ様に座っている。


「裕美は、やり直したいと言っているが、君の考えは…?」

こんな“四面楚歌”の様な場所に居て、自分が発言出来る事に、少し緊張が伴う。



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