からっぽ。
《歩実》



坂下に子供が居る事は、まだ殆ど知る人が居ない。


事情を説明しないとならない事もあって、坂下の両親と私、スタッフの凌くらいにしか話してない。


そんな中、デパートへ行くというのは無謀かと思っていたケド、坂下の方から一緒に行きたいと言って来た。


幾つかの買い物袋を抱えて、坂下の待つ場所へと向かう。


見知らぬ人と話している様だ。


「あらっ。お母さん、戻って来て良かったねぇ」


彩葉ちゃんにそう話している女性に、会釈をする。


「じゃあね」


笑顔でそう言って、人込みの中に消えて行った。



< 181 / 242 >

この作品をシェア

pagetop