からっぽ。
私は、彩葉ちゃんを抱いたまま、体温計を探して、熱を計ってみた。

子供用ではない為に、ちゃんと抱いていないと、体温計が落ちそうになる。



「もしもし?仕事中にごめん。いーちゃん、熱があるよ」


38度7分。


私は、すぐに坂下に電話をして、状況を伝えた。


「分かった。すぐに行くから」


電話を切り、タオルを濡らし、冷凍庫の中にあった蓄冷剤を包んで、彩葉ちゃんの額にあてる。


泣き止んではいたケド、やはり、いつもとは違う。


私は、彩葉ちゃんの母親の事が、頭に浮かんだ。


くすりの事が………



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