からっぽ。
前回、診察を受けた、国立の総合病院。

小児科の女性の先生が、当直で居てくれた。

「今日は、どうしました?」

母親達の中で、一人だけ診察を待っていた俺の事を、先生は覚えてくれて居た様だ。


「熱があります……」

歩実さんから聞いた事を、出来るだけ細かく説明する。


慣れない場所と、知らない人に囲まれたせいか、彩葉はまた、泣き出した。


「少し、入院しましょうね」

彩葉をあやしながら、先生が言う。


「……そんなに…、悪いんですか…?」



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