からっぽ。
《歩実》



「要ちゃんが、お店を出すんだョ」


香子からの電話は、一瞬、誰の事を言っているのか分からなかった。



「……あぁ、誕生日の?」

「そうそう。来週にはオープンするョ」

「ふ~ん……、そうなんだ……」

「オープンには、一緒に行こうョ」


あまり、関心がない私の様子を、分かっていない香子は、そう言ってとても嬉しそう。


「何も予定がなかったらね」


私は、そう答えた。



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