からっぽ。
夢の続き
《要一》



早くに実家を出てしまった俺が、一度だけ、親父に連れられて来た店。

落ち着いた雰囲気に、料理が美味しくて、珍しく二人して酔ってしまった。


俺は、三人で過ごすならと、此処を予約していた。


個室に通されて一息ついた時、女将さんが挨拶に来てくれた。


「お久しぶりですね。
ご結婚されたんですね?おめでとうございます」


どう答えたら良いのか考えていると、歩実さんは、頭を下げていた。

俺にそっくりな子供を女性が抱いていたら、家族にしか見えなくて、当然だ。


「ははっ、家族って………」



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