からっぽ。
「要一、お前、一生独りでいるつもりか?」

何か意図があるのか、突然、先輩が話し出す。

「そうですね………」


歩実さんの顔が浮かんだ。


「あの娘…。
もうダメなのか?
お前、あんなに幸せそうだったのになぁ…」

「………」


分かってる。

歩実さんは、きっと待ってる。

でも……

俺が抱えたモノを、彩葉が抱えたモノを、歩実さんにまで、抱えさせる訳にはいかない。


好きだと云う気持ちより、悲しませたくない気持ちが勝ってしまう。


そしてきっと、悲しませてしまうだろう。


俺は………





< 237 / 242 >

この作品をシェア

pagetop