からっぽ。
『別に良いかぁ…』

そう思ったケド、何も言わず、歩き出した。


外は明るく、散歩をしてる人さえいる様な時間。


私は、夜の街で働き出した頃からの知り合いで、マスターが一人でやっているお店を思い出した。


「マスタ~、久しぶり~っ」


こんな時間でも、嫌な顔をせず、マスターは迎えてくれる。




「坂下さぁ…、香子の事、ちゃんと…大事にしてんの?」


いつの間にか、坂下を責めていた。


「やっぱりさぁ…。こんな仕事だし…、不安にさせちゃダメだと思うョ……」


何も言い返さない、坂下。


私の記憶も、そこまでだったケド………



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