からっぽ。
《要一》



この夜の街で、20年以上も一人で営業をしてる店。

面識はなかったが、話には聞いていた所だ。

カウンターだけの店で、お客さんがいる限り、時間に関係なく営業をしてると言う。


歩実さんは、昔からの知り合いらしく、近況を報告してる様だった。


そのうち、一人で来ていた男性客に、“バーボン”を薦められ、ストレートで一気に飲んだり………


「彼氏、なんか荒れてるみたいだから……、帰りは、頼むね……」

付き合いの長いマスターからみても、今日の歩実さんは変なのだ。

気にはなったが、荒れてる理由を聞く事もなく、俺はウーロン茶を飲んでいた。



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