大好きだよ、先生
1時30分。おばあちゃんの言いつけより早い10分前に学校に着いた。
新しい学校は別にエリートが通う名門校という訳でもなく、普通に勉強をしていれば入れる様な学校。
汽車通学で通えるからという単純な理由で入った人も少なくない。
「あ、友紀ちゃん!はろー!」
校門で突然声を掛けられ顔を後ろに向ける。その声の主は入試の時に友達になった麻里だった。
「おー、やっほ麻里!受かったんだね」
「うわっ性格悪い!バカだけど受かるわ!」
なんて他愛もない話をしながら学校に入る。一年教室は既に新入生が7割程いた。
私達は黒板に書いてある席に座る。
「久しぶり、友紀」
隣から声を掛けて来たのは同じ中学校だった沙葉だった。中井沙葉(なかい さよ)、自分から見て少し背が低く大人しい性格をしている。
「沙葉おはよう!今日も可愛いね」
「えっ、やめてそういうの!惚れるから!」
私に惚れるのか。沙葉は確か彼氏が居たはず。その彼氏は違うクラスみたいだけど。
ふいと周りを見てみれば思ったより顔見知りが多い。左隣や窓側の席にも。同じ中学校だった子がいた。
キョロキョロしているとガラ、と入り口のドアを開ける音がした。教室にスーツ姿の男の人が入って来た。
新しい主任の人かな?なんて考えながら私はその人に釘付けになる。
イケメン...という程ではないが顔立ちは整っている。どこか見覚えがあるなと思えばそういえば入試の時にいたと自己解釈する。
「はい、皆さん。こんにちは」
男の人の挨拶の後に皆がバラバラにこんにちはと返事をする。
私も後に続いて挨拶をした。
「今日から君達の主任になる藤正博です。よろしくお願いします」
すごい声がしっかりしてる...。真面目なのかな、なんて考えながらじっと見る。
「今から入学式をするので体育館に移動します。先生の後に着いてきて下さい。」
そう言って新しい主任の藤先生は教卓から降り教室の入り口で私達を一瞥した。
ガラガラと椅子を引き私達は出席の順に並びながら先生の後を着いていく。
私は1番で先生のすぐ後ろを着いて歩いている。思ったより肩幅の広い背中を見ながらギクシャクと階段を降りる。
少しあがり症のせいなのか体育館に近付くにつれて冷や汗が出てきた。
「緊張してますか?」
いきなり声を掛けられ顔を上げる。いつの間にか先生は振り返って私を見ていた。
驚き混じりに私はえっと声を上げる。
「だ、大丈夫です。緊張してるけど」
「そうですか。体育館には保護者と先生、あと来訪の人しか居ないからそこまで気にしなくてもいいですよ」
そう言って先生は笑った。
「は、はあ...ありがとうございます」
優しい先生だな。そう思いまた向き直る先生を見る。知らず内ににさっきまでの緊張はほぐれていた。
この時はまだ分からなかった。先生に小さな知らない感情を抱いていたのを。
新しい学校は別にエリートが通う名門校という訳でもなく、普通に勉強をしていれば入れる様な学校。
汽車通学で通えるからという単純な理由で入った人も少なくない。
「あ、友紀ちゃん!はろー!」
校門で突然声を掛けられ顔を後ろに向ける。その声の主は入試の時に友達になった麻里だった。
「おー、やっほ麻里!受かったんだね」
「うわっ性格悪い!バカだけど受かるわ!」
なんて他愛もない話をしながら学校に入る。一年教室は既に新入生が7割程いた。
私達は黒板に書いてある席に座る。
「久しぶり、友紀」
隣から声を掛けて来たのは同じ中学校だった沙葉だった。中井沙葉(なかい さよ)、自分から見て少し背が低く大人しい性格をしている。
「沙葉おはよう!今日も可愛いね」
「えっ、やめてそういうの!惚れるから!」
私に惚れるのか。沙葉は確か彼氏が居たはず。その彼氏は違うクラスみたいだけど。
ふいと周りを見てみれば思ったより顔見知りが多い。左隣や窓側の席にも。同じ中学校だった子がいた。
キョロキョロしているとガラ、と入り口のドアを開ける音がした。教室にスーツ姿の男の人が入って来た。
新しい主任の人かな?なんて考えながら私はその人に釘付けになる。
イケメン...という程ではないが顔立ちは整っている。どこか見覚えがあるなと思えばそういえば入試の時にいたと自己解釈する。
「はい、皆さん。こんにちは」
男の人の挨拶の後に皆がバラバラにこんにちはと返事をする。
私も後に続いて挨拶をした。
「今日から君達の主任になる藤正博です。よろしくお願いします」
すごい声がしっかりしてる...。真面目なのかな、なんて考えながらじっと見る。
「今から入学式をするので体育館に移動します。先生の後に着いてきて下さい。」
そう言って新しい主任の藤先生は教卓から降り教室の入り口で私達を一瞥した。
ガラガラと椅子を引き私達は出席の順に並びながら先生の後を着いていく。
私は1番で先生のすぐ後ろを着いて歩いている。思ったより肩幅の広い背中を見ながらギクシャクと階段を降りる。
少しあがり症のせいなのか体育館に近付くにつれて冷や汗が出てきた。
「緊張してますか?」
いきなり声を掛けられ顔を上げる。いつの間にか先生は振り返って私を見ていた。
驚き混じりに私はえっと声を上げる。
「だ、大丈夫です。緊張してるけど」
「そうですか。体育館には保護者と先生、あと来訪の人しか居ないからそこまで気にしなくてもいいですよ」
そう言って先生は笑った。
「は、はあ...ありがとうございます」
優しい先生だな。そう思いまた向き直る先生を見る。知らず内ににさっきまでの緊張はほぐれていた。
この時はまだ分からなかった。先生に小さな知らない感情を抱いていたのを。