後輩
胸の奥から込み上げてくる焦りと不安と期待とがごちゃ混ぜになったような、その感情を言葉にするにはまだ、俺は幼くて。
喉の奥が固くなっているけれど、無理やり声を絞り出した。
「せ、先輩、あの……」
緊張のせいか、掠れた声が出た。喉は相変わらず固いままで、耳障りな心音を鎮めるように少し俯いて息を吐き出した。
次の言葉を待つ千咲先輩はただ静かに俺を見つめる。
「好き、です」
たった一言を告げてすぐに俺は後悔した。我ながら、ダサい告白だと思った。
本当はもっとかっこ良く、ちゃんと目を見つめて、身長差なんて埋める勢いで言おうと思っていたのに。
実際は目を合わせることすらもままならず、声だって震えて掠れて最悪だ。それに加えて真冬の冷たい空気に負けないくらい俺の顔は熱くなっていた。
小さい頃から緊張すると赤面する癖はまだ治っていないようだった。