後輩
どうして急に、と慌てて口にしようとして気づいた。由樹人くんはきっと、あたしを慰めてくれているんだと。こんなに真っ赤になってしまうくらい恥ずかしい思いをしてまで。
クスリと笑いを零したあたしに由樹人くんは真っ赤な顔を両手で覆って「今の忘れて下さい……」と弱々しい声で告げた。
「嫌だよ、忘れてなんてあげない。だって、すごく嬉しかったもん」
そう言ったあたしに由樹人くんは困っているような照れているような、複雑な表情を浮かべた。
「でもさ、由樹人くん」
両手でぎゅっと握り締めたココアに視線を落としながら、ポツリと言葉をこぼす。
「どうしてそこまで、優しくするの?」
あたしは由樹人くんの精一杯の告白を断ってしまった。だから優しくされる理由がもう見当たらない。
こんな風に優しくされると、嬉しいのに罪悪感のせいでやっぱり胸が締め付らけれる。