後輩


「……やっぱり、迷惑でしたか?」
「え?」
「告白。迷惑だったなら、ごめんなさい」


 そう言って本当に申し訳なさそうに深々と頭を下げてくる由樹人くん。あたしは慌ててその頭を上げさせた。


「違う!そうじゃないの!……避けてたのは、迷惑だったからとかじゃないの!」
「本当に?」
「ほんと!むしろ、あたしの方こそごめんね?勘違いさせるようなことしちゃって……」


 あたしなりに考えて由樹人くんの為にと思ってとった行動も、由樹人くんの立場からすればそう考えてしまっても無理はない。
 きっと、人と人のすれ違いはこうして生まれていくんだと思った。相手のことを思えば思うほど、考えるほどに、それは自分勝手な行動に繋がって、勝手に落ち込んだり泣いたりして、でもそれらは結局些細なことで埋められたりする。今のあたしと由樹人くんのように。

 あたしに傷つける気がなかったとしても、結果的に由樹人くんを傷つけてしまったのだ。思っていることや考えていることを伝え合うのはすごく難しいんだと、改めて思う。
 だから、ちゃんと伝えよう。どんなに拙い言葉でも。綺麗ではなくても。
 きっと伝えることに意味がある。少なくとも今の由樹人くんにはそれ以外にできることはないだろう。

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