後輩





 合コン開始30分で俺のテンションは地の底に沈んでいた。
 もともと人が大勢いる場所が苦手だというのもあるけれど、それに加えて俺を憂鬱にさせている原因がもう2つ。

 1つはメンバーの4人が俺と安以外20越えの大学生ばかりだということ。安にとっては知り合いだから気兼ねする必要はないのかもしれないけれど、俺はそういうわけにもいかない。さっきから表情筋を酷使しすぎて攣ってしまいそうだ。
 一つだけ良いところをあげるとするならば、俺たち以外の人達が年上だからなのかは知らないが、合コンの店は座敷で個室という過ごしやすい空間であることくらいだ。

 だけど、それでも俺はやっぱり、この空間に居づらい。俺の気分を下げているもう一つの原因のせいだ。


「由樹人くん、気分悪い?」
「……いえ、平気です」


 明らかに平気ではない顔でそう告げた俺に、声をかけてきた千咲先輩が益々心配そうに俺を見た。
 心配する言葉も視線も今は何だか不快で、今日は厄日だったのかもしれない、と頭の片隅でそんなことを思う。
 まさか初めて行った合コンで千咲先輩に再会することになろうとは夢にも思っていなかったのだから。
 こんなことになるなら合コンなんてやっぱり断っておくんだったと今更後悔したところでもう遅い。
 だだ下がっていくテンションを上げる気にもなれず、目の前のジンジャエールを意味もなく煽った。これがお酒なら少しは気分を紛らわせたんだろうかと、自分の年齢を少し恨んでみる。

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