呼吸(いき)するように愛してる
『匠くんお世話係』です!
──高校を卒業して、私とみちるちゃんは近くの短大に進学した。

ヒロくんは、県内の国立大学に進学した。県内と言っても、毎日自宅から通学するには遠すぎるので、大学の近くにアパートを借りた。

クラスは違っても、小学一年生からずっと一緒だったヒロくん。

短大に通い始めた時、みちるちゃんはいるのに、ヒロくんがいない事を不思議に思ったりもした。

「私は、せいせいしたけどね」

ほぼ生まれた時からの付き合いのみちるちゃんは、表情を変えずに言った。

あの時、みちるちゃんがヒロくんに、安西先輩の事を話してくれた。すぐにお別れした事も、その理由も。

「美羽の好きなようにすればいい。俺、もう何も言わないから!」

そう言ってヒロくんは、私の頭をワシャワシャと撫でた。

……私はどうしたいのか、どうしたらいいのか、今だによくわからない。

ただ、匠くんへの想いを変にごまかすのは、やめようと思った。

いくらごまかしても私は、無意識のうちにでも、匠くんを求めてしまう……その事が、よ~くわかったから。

ともママにも、探りを入れるような事は、全然していない。


短大に進学して、『合コン』なんてものに誘われる事もあった。

みちるちゃんと一緒だと声をかけられず、私が一人になったとたんに声をかけられるので、多分、数合わせがほとんどなんだろう。

ずっと断っていたのに「すぐに帰ってもいいから!」と拝み倒され、仕方なく参加した。

行ってみると、すぐに帰れるはずもなく……

一人の男子に連絡先をしつこく訊かれ、教えなかったら、短大で待ちぶせされた。

思ってもみなかった事に、怖さで足が震えた。

みちるちゃんが、ピシャリ!と言ってくれたおかげで、それ以上は何もなかったけど。

「美羽、イヤなものはイヤと、はっきり断る!」

珍しいみちるちゃんの強い口調に、これは大事な事だと思い、何度も頷いた。

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