呼吸(いき)するように愛してる
『お酒』は、三人が二十才を迎えてから、一緒に飲む事にした。

昨年までは、家族でお祝いをしていたけど

「美羽も大人になったんだから、これからこういう事も、増えるでしょ!」

と、お母さんは笑顔で送り出してくれた。お父さんは、この事を話した時、寂しそうだったけど。

レストランを出た後は、カラオケに行った。三人で遊ぶのは久々で、時間も忘れてはしゃいでしまった。

気付いてみれば、午後十一時を過ぎていた。夜更かしが苦手なみちるちゃんは、すでにコクリコクリと頭が揺れていた。

「明日もあるのにな…ちょっと、はしゃぎすぎたか」

ヒロくんも苦笑いする。

今日は、ヒロくんがお父さんから借りた車で、三人で移動していた。

高校卒業の年に、三人とも自動車免許を取得した。ここは田舎だから、公共交通機関があまりあてにできない。地元に残って就職するなら、移動手段として車は必要だ。

大学生のヒロくんは、大学の近くにアパートを借りた。アパート近辺にコンビニとか、本屋さんも併設されたレンタルショップもあって、車に乗らなくても困らないらしい。

だから必要な時だけ、お父さんの車を借りて乗っている。

私とみちるちゃんの通う短大は、市内と言っても外れのへんぴな場所にあって、車通学でないと通うのが大変だ。

短大側も、その辺は自覚があるらしく、土地だけはあるから、広大な駐車場がちゃんと作ってあったりする。

ユラユラ揺れるみちるちゃんを、とりあえず自宅に送り届けてから、ヒロくんが私を送ってくれた。

私を、先に降ろしてくれてもよかったのに……

みちるちゃんとヒロくんは、お隣さんなんだから。

私を送ってくれるヒロくんは、何か様子がおかしくて。金魚みたいに口をパクパク開くけど、何も言わない…を繰り返している。

どうしたのかな……?

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