呼吸(いき)するように愛してる
何だかよくわからないけど、気まずいと感じる空気に耐えられず、私の方が、とりあえず口を開いた。

「今年はね、まだ匠くんからの花束が届いてなくて……仕事が忙しくて、忘れちゃったのかな?」

「……美羽、待ってるの?」

真っ直ぐ前を見たまま、ヒロくんが訊く。

「そりゃあ、待ってるよ!匠くんが、私だけの事を考えて、贈ってくれるプレゼントだもん……」

「・・・」

それっきりヒロくんは黙ってしまって、さらに気まずい雰囲気になってしまった。

ヒロくん、何か怒ってる……?私は、訳がわからなくて、微妙に眉間にシワを寄せる。

私の自宅に着いたら、「遅くなった事を自分も謝る」と言って、ヒロくんも玄関までついてきた。

玄関先で出迎えてくれたのはお母さん。

「ヒロくん、わざわざありがとう!それにしても、美羽。ここまで遅くなるなら、電話の一本でもしてくれたらいいのに。何の為のケータイなの?」

しっかり、お小言をいただいた。

「ごめんなさい!…花束、届いた?」

「…届いてないよ」

ガクッ!と肩を落とす。

匠くん、とうとう私の誕生日、忘れちゃったのかな……

その後、玄関先でヒロくんにお礼を言ったけど。やっぱり、何となく不機嫌に感じるヒロくんの態度。

もう、何なの~!?

帰ろうと玄関扉を開けたヒロくんに、声をかけようとしたら、ふいにコンタクトがずれた。

「あっ!…」「どうした?」

その後、ヒロくんに目の中を確認してもらって、ずれたコンタクトを元の位置に戻した。

「あ~、焦った~…ありがとうヒロくん!」

「おう!じゃあ、またな!」

「うん!おやすみ!」

と、結局いつもの感じで別れた。

まっ、いっか~……

すぐにお風呂に入って上がると、驚く事が待っていた。

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