呼吸(いき)するように愛してる
喫茶店を開いたり、その後のお手伝いも秋山さんにお願いしてみたら、元気を取り戻すきっかけにならないだろうか?

そう思ったともママ達は、さっそく秋山さんに喫茶店の事を相談する。

ともママ達の話に、目を丸くした秋山さん。その後、薄く笑いながら「その気持ちだけで充分」と言ったそうだ。

でも、ともママ達は退かなかった。

何度か通って話をするうちに、ようやくともママ達の熱意が伝わり、秋山さんも手伝ってくれる事になった。

やる!となったらあれよあれよと言う間に、準備が進んだ。秋山さんも、精力的に動いてくれたそうだ。

ともママと聡くんの新たな喫茶店がオープンして、半年以上が過ぎた。

週に二~三日、ともママ達は、その町に通いながらお店を開いていた。が、「毎日開いてほしい」という町の人の声や、ともママ達にも、その町で他にやりたい事もできてきたので、四月から、毎日お店を開く事にしたそうだ。

「えっ!?でも、それって……」

「うん!二人であの町に住むの。ゆくゆくは、住所も移そうと思ってる」

「・・・」

そっか……すごく、寂しくなっちゃうな。ともママは、本当に“もう一人のお母さん”て感じで、いろんな話を聞いてもらっていたのに。

でも、最近のともママと聡くんは、本当に楽しそうでキラキラしてたもんね。

「身体に気を付けて、ともママも聡くんも、がんばってね!」

ニッコリ笑って私がそう言うと「ありがとう!」とギュッ!と抱きしめてくれた。

「だからね、匠が帰ってきても一人なのよ。要も、たまにしか帰ってこないし」

ともママ達が新たに喫茶店をするようになって、カフェの中心は要お兄ちゃんになった。

カフェの二階には、従業員の休憩室や倉庫として使っている部屋があった。

要お兄ちゃんは二階に、シャワールームを作ったり、ベッドを置いたりして、カフェに寝泊まりできるようにしてしまった。

< 124 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop