呼吸(いき)するように愛してる
お姉ちゃんは、かなり寝坊して、朝だか昼だかわからない食事をとって出かけたそうだ。

大学を卒業したら、あっさりと地元に帰ってきたお姉ちゃん。

お姉ちゃんは、このまま都会で就職するんだろう…そう思っていた私は、かなりびっくりした。

「せっかく女に生まれたんだから、結婚をして、赤ちゃんだって産みたい!でも、家事と育児だけに追われる毎日はイヤなの。仕事だってしたいし。…私、朝倉家の長女でしょ!お婿さんをもらえば、お母さん達がいろいろと手伝ってくれるわよね?孫は、可愛いっていうし」

涼しい顔で言いきったお姉ちゃん。お姉ちゃんらしいような、意外なような……

県内でも大手の企業に就職し、毎日のように残業をこなしながら、バリバリと働いている。

休日はほとんど家にいないが、“お婿さん探し”をしているのかどうか、私は知らない。


お母さんが昼食の炒飯を作る横で、中華スープを作りながら、今日の夕食を考える。

私達が成長して、外で食事を済ませる事も増えて、週末の食事は各自自由にとる事になった。

お父さんとお母さんは、午後から買い物に出かけて、夕食も外で済ませてくるそうだ。

夕食を家でとるのは匠くんと私だけ。だから、匠くん家で夕食の準備をしよう。

高校生の時、アルバイトができなかった私は、お母さんやともママのお手伝いをして、小銭を稼いでいた。

料理のお手伝いも多かった。おかげで、一通りの物は作れるし、匠くん家のキッチンの様子もわかる。味は、自信ないけど……

匠くんのお引っ越しだから、引っ越しそばとか?……そばよりも、うどんの方が好きだから、うどんにしよう!野菜と溶き卵を入れたかきたま風にして…もう少したんぱく質と野菜をとりたいな……

そんな事を考えながら、お父さん、お母さんと昼食を食べた。

近くのスーパーに買い物に行く。お金は、要お兄ちゃんから預かる事になっている。

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