呼吸(いき)するように愛してる
「うっ!……」

涙が、頬を伝う。声を上げそうになり、一度鼻まで湯船に沈む。

その事から、ずっと目を背けていた。毎日のように夕食を届ける事で、匠くんにとっての一番身近な異性は、自分だと思いこんでいた。

実際は、私の知らないうちに、匠くんの気持ちはとっくに決まっていたのだ……

そう……美里さんに出会った時から、いつかこんな日がくるかもしれないと、わかっていたはずだ……

悲しい……寂しい……悔しい……辛い……いろんな想いが、涙と一緒にとめどなく溢れてくる。

その日私は、逆上せてフラフラになるまで、湯船に浸かって泣き続けた。

キッチンでお茶を飲み、部屋に戻る。

濡らしたタオルで顔や首筋を冷やしながら、保冷剤を目元に当てる。

危なかった~!なんて思いながら、ベッドに横になる。

火照った身体が落ち着いてきたら、やっぱり涙が溢れてきて……

お風呂で逆上せるまで、泣いたのに……と、涙を流しながら、苦笑した。



*****


須賀さんと会った次の日の午後、みちるちゃんと会った。

午前中スマホで話した時、私の様子から何かあったと感じてくれたみちるちゃん。

みちるちゃん家で、会う事になった。

保冷剤を当ててみたりしたけど、若干腫れた私の顔と赤い目は、お母さん達に心配をかけた。

「寝不足で…」なんて言いながら、午後からは、みちるちゃん家に出かけるのだ。何かあったのかも…と思われたかもしれない。

みちるちゃん家に行くと、みちるちゃんの部屋に移動する。すぐにアイスティーとお菓子、保冷剤を持ってきてくれる。

さすが、みちるちゃん……

アイスティーで喉を潤した後、ゆっくり、少しずつ、昨夜、須賀さんと会った時の事を話した。

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