呼吸(いき)するように愛してる
私の想いを…
GW休みの間、夕食はいらないと匠くんに言われていた。

匠くんが自宅にいるなら、夕食を作らせてほしいとお願いしたけど、「社会人になって初めてのGWなんたがら、しっかり休養しろ!」なんて言われて、それ以上何も言えなかった。

あの時はすごくガッカリしたけど、今になって思えばよかったようだ。

決心が鈍らないうちに…と、みちるちゃんの前で匠くんにメッセージを送った。

『今年の匠くんの誕生日、私にお祝いさせてください!』

十分もしないうちに、匠くんからメッセージが返ってきた。

『平日だし、無理しなくていい』

私が言い出した事が、匠くんにとって“余計なお世話”なのか、ただの“遠慮”なのか、よくわからない。

『無理してないよ!小さい頃は、みんなでお祝いしたよね。今年は、大きくなった私が、ごちそうを作るから!』

祈るような気持ちで、匠くんからのメッセージを待つ。

『美羽、ありがとう。楽しみにしてる!』

そうメッセージが届いた時は、思わずみちるちゃんに抱きついた。

「よかったね。ちゃんと想いを伝えようね」

背中を擦りながら言ってくれたみちるちゃんの言葉は、いつもより優しい響きだった。

出会った時から、みちるちゃんにはたくさん話を聞いてもらって、たくさんアドバイスしてもらって、たくさん心配をかけている。

匠くんとも約束したんだから、今さら誕生日のお祝いはやめられない。

でもやっぱり、不安になってしまう。

私の気持ちを伝えた時、匠くんはどう思うだろう?どんな顔をするだろう?何を言うのだろう?

やっと傍にいられるようになったのに、『妹のような幼なじみ』にも戻れないかも……

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