呼吸(いき)するように愛してる
「花言葉?」

「うん」

みちるちゃんが渡してくれたスマホを受け取る。

そこには、白いバラの花言葉が書かれていた。

『無邪気』『純粋』『素朴』他にもいろいろあったけど、なるほどと思った。

スクロールすると、蕾や小輪のものにも、それぞれ花言葉があると書かれている。

そういえば、匠くんから送られた白いバラは、小ぶりな花だったなぁなんて思い出す。何となく、簡単に触れられないような、清らかさを感じた。

『恋をするのは若すぎる』

小輪の白いバラの花言葉。……これは……匠くん、この花言葉を知っていたのかな?高校生だった私への、匠くんの想い?

私がスマホから顔を上げてみちるちゃんを見ると、みちるちゃんは微かに頷いて右手を差し出した。

私がスマホを渡すと、少しスマホを触って、すぐにまた渡された。

十九才の誕生日に届いたピンク色のバラの花言葉は『しとやか』『温かい心』『恋の誓い』等々。

私の隣に座ったみちるちゃんが、スマホを触る。

二十歳の誕生日に、匠くんが直接届けてくれた赤いバラの花言葉。

『情熱』『愛情』『あなたを愛します』等々。赤いバラ、イメージ通りの言葉が並ぶ。

匠くんが、プレゼントのバラの色を変えていたのは、匠くんなりの想いがあったから……?

私がスマホを眺めたまま固まっていたら、隣からみちるちゃんが、画面をスクロールする。

「美羽」みちるちゃんの呼びかけでハッとして、スマホを見る。

そこには、バラの本数ごとの花言葉が書かれている。

「美羽が、十六才から十九才まで受け取ったバラの花束は、十一本。二十歳の時に受け取った花束が三本だったよね?」

「うん……」

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