呼吸(いき)するように愛してる
一度軽く目を閉じてから、スマホの画面を見た。

『三本‥‥愛しています、告白』

『十一本‥‥最愛』

「うそっ!!…ほんと?」

思わず声を上げて、みちるちゃんを見た。みちるちゃんは、大きく頷いた。

「美羽に、匠くんからバラの花束が誕生日プレゼントに届いたって聞いて、何となく花言葉を調べてみたの。二十歳の誕生日の時に、三本の赤いバラを直接届けに来たって聞いて、間違いない!匠くんは、花言葉を知っている!て確信したんだけど……」

みちるちゃんは、わずかに眉根を寄せた。

「美羽には会わなかったようだし、その後も、匠くんは何も言わない。美羽に彼氏がいるって勘違いしていたみたいだから、その事と関係あるかもしれないけど。…今日の美里さんの事は、やっぱり匠くんに訊かなきゃわからない」

みちるちゃんの言葉を、どこか、他人事のように聞いていた。

本当に?……もしかして匠くんも、私の事、想ってくれていた……?じゃあ、美里さんは?

考えてもみなかった事に、どうしても現実感が湧かない。

「美羽、匠くんにちゃんと想いを伝えよう!」

みちるちゃんは、バラの花言葉を知っていたから「匠くんに想いを伝えるべき」と、ずっと言い続けてくれたんだ。

「うん!みちるちゃん、今までたくさんありがとう!!」

みちるちゃんに抱きついて言ったら、「お礼は匠くんに想いを伝えてから」と返された。

「うん!その時は、もっとありがとうって言うから!」

そう言ったら、フフ…とみちるちゃんが笑った。

わからない事は、たくさんある。でも、“希望”みたいなものが見える気がする。

帰りは、きちんとリビングに顔を出して挨拶をした。

「夜分遅くにお騒がせして、すみませんでした!」

「またいらっしゃい!」と、みちるちゃんのお父さんとお母さんが言ってくれた。

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