呼吸(いき)するように愛してる
時刻は、二十二時を過ぎていた。みちるちゃん家に着いたのが、二十一時過ぎだったから、一時間程お邪魔していたのか。

私が車を止めている空き地まで、見送りに出てくれたみちるちゃん。

空き地が見えて、私の車の隣に見慣れた車が止まっている事に驚く。

「匠くん?……」私の呟きに、みちるちゃんもその存在に気付く。

二人でゆっくりと車に近付いていくと、匠くんが運転席から降りてきた。

「美羽っ!」

匠くんの姿を見て、そうか、匠くんには何も知らせずに出てきてしまったな…と、初めて気が付いた。

その原因が匠くんでも、匠くん自身は何も知らないんだよな。

「美羽、ど……」

「匠くん、心配かけてごめんなさい!帰ったら、ちゃんと理由を話すので聞いてください!」

何かを言おうとする匠くんを遮り、身体を半分に折って、頭を下げながら一気に言った。

「美羽……」

「匠くん、お久しぶりです。美羽が、自分の想いを話しますから、聞いてあげてください。その時は、匠くんも正直な気持ちを伝えてあげてください。お願いします」

隣で、みちるちゃんも一緒に頭を下げてくれた。ありがとう、みちるちゃん。

頭上で大きな溜め息が聞こえた後、匠くんが言った。

「二人とも、わかったから頭を上げて。美羽、とりあえず家に帰ろう。…みちるちゃん、いつも美羽がお世話になってます」

私とみちるちゃんが頭を上げると、今度は匠くんが、みちるちゃんに頭を下げた。

何だろう、まるで保護者同士のご挨拶みたいだ。

「いいえ、こちらこそ。じゃあ、美羽、またね」

「うん。みちるちゃん、ありがと。またね!」

匠くんが車に乗り、私も自分の車の運転席に乗る。みちるちゃんに手を振って、匠くんに続いて、空き地を出た。

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